当方は2020年頃か株式投資型クラウドファンディングの全案件の情報をまとめて、それぞれ短評でもいいから評価し続けるということをはじめました。2021年に初めて年間を通して全部の案件を目を通して評価したことになりますので、ここで一旦まとめた業界の雑感を書いてみたいと思います。
2017年からの全データも入れることでサマリー的なデータも紹介できるようになりました。
【株式投資型クラウドファンディングサマリー】年別、業者別の実績まとめ表示
現在は主に4社が株式投資型クラウドファンディングではしのぎを削っています。2021年の状況を紹介すると下記のようになります。
業者名 | 件数 | 成立 | 成立% | 総調達額 |
---|---|---|---|---|
FUNDINNO (ファンディーノ) |
125 | 98勝27負 | 78.4% | 32.1億 |
Unicorn (ユニコーン) |
18 |
11勝7負 |
61.1% |
3.46億 |
イークラウド | 7 |
7勝0負 |
100.0% |
2.44億 |
15 |
9勝6負 |
60.0% |
2.15億 |
ざっくりとFUNDINNO(ファンディーノ)が業界トップを引き続き牽引、以下3つの業者さんが追いかけていますが、少し差があるので、それぞれの業者の特色の方が業者判断には大事かもしれません。
FUNDINNO(ファンディーノ) はついに1年で出す案件数が100件を超えましたね。もちろん総調達金額も大きいようにしっかりと成立させる案件も多いので、業界のスタンダードとして認知度が高いです。
年末にはファンディーノマーケットというセカンダリー市場の創出も初めて、業界でも進んで新しいことに挑戦し続けています。荒削りな部分もあるものの、新規ビジネス創出でこのスピード感で初めてのことをやれるのが評価されているように感じますね。
良い相乗効果となっているのが、業界ではとりあえずFUNDINNO(ファンディーノ)という印象が募集する企業でもありそうなので、良い案件も集まりやすいということでしょうか? 一方で、案件数が多いために案件に対しての扱いが少し雑になるのではないか?という懸念があります。
いずれにしても投資するかどうかは、私達投資家自身が決めることが出来るわけですから、自分が注目する企業や業種に投資しやすいのは現時点でFUNDINNO(ファンディーノ) がNo.1ということになります。他社の案件では「何故、FUNDINNO(ファンディーノ) でなくこちらを選んだのか?」という質問も多いぐらいデファクト・スタンダード的な存在です。
まだまだ伸びそうな雰囲気ですが、2021年の案件数が多かったために2022年が更に増えるのか?ですね。あまりに多いと投資家側もお腹いっぱい感があります。
後はそろそろ2017年からの実績で初期のことの案件で、強烈なイグジット実績(マザーズ市場、グロース市場にIPOするなど)が欲しいところです。
業界2番手を追走するUnicorn(ユニコーン)ですが、2021年は少し苦戦した印象を受けます。出した案件数は2020年より増えましたが、総調達金額が下がっていますね。また勝率も下がっています。
2021年の途中で出した「株主間契約」の問題から歯車が少し狂った印象です。投資家に対してスムーズに受け入れなかったのは事実で、後の案件では「株主間契約対象外」などと付けていたりしていますね。やはり契約で2倍キャップ的なものが書かれていると敬遠してしまうのが心情でしょう。ECFに投資する方はリスクが大きいのは承知なので、やはりキャップを感じないリターンを目指したいというのが大多数なのではと思います。
個人的にも案件はすべて目を通していますが、年後半から担当が変わったのか?と感じるぐらい案件に対する説明文も少し注目ポイントがわかりにくくなったと思っています。もともとは個人投資家に魅力的になるような案件ばかり出ていて2番手として分かりやすくファンディーノよりお得な案件が多くないか?と思っていたので挽回に期待ですね。
2022年は挽回の年になるか?がUnicorn(ユニコーン)の注目ポイントでしょう。もともと出てきた当初の案件が「株主優待全部出す」「投資家に魅力的なものを」と投資家支援目線だったので、そうなると企業側からの選択が不利になっていたのかもしれません。後からややサービスが落ちた感が出てしまうのが不利だったというのが2021年だと思います。
相変わらず良い案件を絞って出しているように見えるので、「案件内容ならFUNDINNO(ファンディーノ)<Unicorn(ユニコーン)」という公式を定着させて欲しいですね。
イークラウドはサービス開始当初からまだ100%成立を達成中です。実際出てくる案件が丁寧に選ばれていて、独自性に富みつつも魅力的なものが多いというのが率直な感想です。私もついついどれも投資したくなると思って何件か投資するようになりました。
スタイルからすると出てくる案件数が少ないというのがデメリットなのかもしれませんが、FUNDINNO(ファンディーノ)がたくさん出してくる情勢においては、こちらのように一つ一つ案件を大切に扱っている感がある方が魅力的ですね。
投資家へのアンケートなども積極的に取っていますし、企業側へのアプローチも代表などの顔が見えて好感が持てます。イークラウドさん自身が起業支援に対して上手というか共に成長していこうというスタイルを感じます。サイバーエージェント系のVCと大和証券のサポートは厚みがありますね。
2022年も成立100%継続なるかが注目です。過去の案件の業績もしっかりと好調なものが多いですので、それがもっと表に見える形になれば人気が増しそうです。
CAMPFIRE Angelsは2021年の夏頃から一気に案件数が加速してきました。件数が多いのは喜ばしいことですが、FUNDINNO(ファンディーノ)から鞍替えしてきた案件を募集するなど荒削りなところもありますね(それらは未成立になっています)。
CAMPFIRE Angelsとして事業スタイルをどうするかは難しいところでしょう。業界では後発ですがCAMPFIREとの連携は大きなメリットです。次はとにかくECFとしての成立実績が欲しいところです。
こちらも投資家に積極的にアンケートを取っていて、どういった案件を用意すべきかまだまだ手探り状態と言えると思います。今後も非成立なものもあって苦しいかもしれませんが、失敗から成長するうと思えば、今後期待できるかもしれません。
案件に分かりやすい「新株発行概要書」を必ず付けているなど、案件の状況を判断するのは会員の方なら分かりやすいです。一方、ホームページレベルに紹介しているピッチや募集期間のスピード感などは、まだまだ慣れてない気もします。
2022年には成長を期待したいECF業者ですね。荒削りながら件数を出して経験を積んでいるのが今後に活きていくと思っています。
業界全体では2020年ぐらいから盛り上がってきたものが、引き続き継続されている印象のある2021年だったと思います。ただ、爆発的な成長感はやや止まっている気もしますので、FUNDINNO(ファンディーノ)のところでも書きましたが、イグジット実績や過去の案件がしっかり業績好調という結果が分かりやすく表に出てこないと、もっと注目を集めることは出来ないと思っています。
ECFはハイリスク・ハイリターンですので、厳しい現実(精算・倒産など)もいくつか見られています。恐らくECFに投資する方は、リスクは受け入れる覚悟で未来の成長に賭けたいという思いを持って投資していると思いますので、過去の案件が大きく成長している姿がたくさん感じられればもっと盛り上がる業界になるでしょう。
特にFUNDINNO(ファンディーノ)さんが2017年頃から成立案件が複数ありますので、5年経つ頃合いでイグジットまでじゃなくても、大きく業績が成長している姿を沢山アピールできていればと思っています。ひょっとしたらファンディーノマーケット上場で、高値がついているというのを狙っているのかもしれませんが、どうなるのか注目ですね。
私としてはECFの全案件を短評でもいいから独自のポイントをまとめている人は中々いないと思いますので、出来る限り続けてたいと思っています。