12月27日のビースタイルホールディングスの上場で2024年のIPOもすべて上場しました。来年のIPOの新規承認も出ていますが、今後のために今年のIPOを振り返ってみたいと思います。

【IPOサマリー】2001年以降のIPO情報を一覧、グラフ表示

当方のサイトでは2001年からのIPOデータをしっかり管理することで見やすく分析できるページがたくさんありますので、そちらも年末年始に皆さんが振り返る上でお使い頂ければと思います。年別データのページなどは年単位でのIPO情勢が伺えて良いのではと思います。

2024年の上場数は86件と久しぶりに90台を切って、数は減少傾向になっています。特にコロナ後や東京オリンピックイヤーの2020年あたりには多くのIPOが待っている状態と言われていたので、数が減少傾向になるのは仕方のない部分でしょうか?それでも90弱のIPOがあったのは、リーマン・ショック後のことを考えれば十分です。2025年も概ね90~100ぐらいのIPOが結局出るのでは?と予想されています。

2024年のグラフを見ても分かる特徴的なことは「平均騰落率」がかなり下がっています。公募参加、初値売りだけという人にとってはIPOってもっと初値高騰して楽に儲かると聞いていたのに、全然そんなことないよ!って感じた一年だったかも知れません。私も全銘柄の上場はかならず見て初日の動きなどレビューしていますが、今は初値視点だけで考えるよりも上場後2~3日は考えたほうが良いですね。

特に初日は成行規制で(成行買い注文)が問答無用で出来なくなっています。この影響は大きいでしょう。


再掲)2023年6月26日からIPOの初値が付くまでの日で「成行注文」ができなくなりました。

規制前売り 規制前買い 規制後売り 規制後買い
上場初日 規制なし 規制なし 成行注文不可 成行注文不可
初値付かず(2日目以降) 規制なし 成行注文不可
即金規制
成行注文不可 成行注文不可
即金規制
初値が付いた翌日以降 規制なし 規制なし 規制なし 規制なし

赤字の太字になっている部分が、2023年6月26日の上場から変更されています。それまでは上場初日にIPOの成行注文ができていました(証券会社によってはミスを避けるため指値しかできないところもあった)が、それができなくなり「指値」で注文することになりました。


影響を受けてか、やはり初日で過度な動きはやや減ったと感じます。初日に動かなかった場合に2日目で動意づくことも多いので、より単なる初値売だけではなくて、目標株価などを決めておいて売るなどしたほうが良いですね。もちろん、これまで通り何があろうとも初値で売るというのもIPOでは大事な心構えの1つだと思います。

私の場合ですが、IPOは様々な証券会社で手に入れることになるので、貰った証券会社に株券を残す理由がない限りは「初値で売っています」。初値が安いと思っていても、そこでは売って別の証券会社で買い直します。今やネット証券では取引手数料無料化が進んでいますので、売買を頻繁にやっても手数料損にはなりません。下手に塩漬けにするよりは、手離れ感が良くなるので意識的に買い直すことはオススメです。

過去数年の結果を横並びでみると2024年のIPOは全体的に悪い結果が伺えますね。2023年のまとめ記事では2021年頃から1撃100万円といった超S級IPOが出てきてなくて寂しいと書きましたが、2024年は1撃50万以上すら出てきませんでした。最大騰落率がジンジブの227.4%です。初日値付かずで2日目まで行った銘柄は2024年は3銘柄となっています。しかも3月末IPOまでの年前半部分に偏っており、2024年は序盤はいつものように好調な雰囲気はありました。

特に6月下旬のIPOから一気にIPOの地合いが悪くなっており、いわゆるイグジットIPO系は軒並み公募割れという状況が続きました。地合いの悪さが影響してC級レベルで微妙としか評価できない銘柄は初値負け越しが増えています。当方のC級評価は公募割れも起こるけど、プラスになる銘柄もあるので、合算すればなんとかなるレベルだと思っているのですが、2024年の6月以降からはC級レベル以下は全部回避といった作戦で良いぐらいの地合いとなっています。

【IPO初値結果一覧表】騰落率、損益、その後の値動きなどチェックに

2024年のIPOリストは上記ページが見やすいです。

2024年のIPOで感じたことまとめ

2024年のIPO全体を眺めて感じたことを再度あげてみたいと思います。

2023年6月スタートの成行規制の影響?

成行規制が施行されてから初めて1年を通して結果が出たのが2024年です。「需給が不安定な状況における株価のボラティリティの過度な増幅を抑えることを目的」ということで、やはり初値高騰が減ったことを振り返ると、規制の影響は効いていると思います。

一方で初値や初日があまり盛り上がらない分、2日目にいきなりストップ高まで騰がるような銘柄も増えています。特に公募割れ銘柄が2日目に急激に伸びて公募奪還、そこを破ればさらに伸びていくといった銘柄も散見されました。逆に2日目も元気がないような銘柄は、その後もダラダラと下げるので、このあたりの銘柄の違いの選別は必要そうで、上場前にIPOスペックを見極めておくことは、IPOに参戦する上で重要になっていると感じます。

いずれにしても初日だけでなく、上場後2~3日のスパンでIPOは追っかける必要が常にありそうです。

全体地合いはほどほど、6月下旬から急激に悪化

一年を通した流れは、年初IPOは好調でした。2023年の12月IPOが上場ラッシュの影響もあってか公募割れも多く雰囲気は悪かったのですが、スタートダッシュを決めた2024年だったと思います。しかしながら6月IPOあたりから公募組に不利なイグジットIPOが乱発して結果も不振、その後は地合いの悪さみたいな言葉が飛び交うようなIPOが多かったと思います。初値で1撃50万以上みたいな銘柄もでずで、ボラの大きさを抑える方向というのを考えると、2025年以降も1撃〇〇みたいな楽しい銘柄はでないかも知れません

プライム神話!大型IPOはやはり強い

東証市場再編から特に強いのは大型IPOです。

今年は4銘柄が上場して結果としてはプライム上場で初めて公募割れも出てきて、初値2勝2敗となっています。それでも大型IPOは規模感的に初値からこれほど好調なことは昔はありませんでした。どちらかというと需給面で高騰するといういのがIPOの醍醐味でしたが、最近では需給だけではなく、買いやすさの方が人気のもとになっている気がします。もちろん株価には需給も大切ですが、IPOで昔のように需給だけ良ければ良いという感覚ではなくなってきているように見えます。「超小粒でもそれを上回るレベルで買いが少ない、大型でもそれを上回る買いが集まる」といった資金の動きがサイズに合わせて流動的な印象です。

今後も大型プライム上場銘柄は、少し安心して参加できる流れになるかも知れません。


最後にIPOといえば年末年始は12月のIPOラッシュから、翌年のIPOまでの空白期間として「見直し買い」が注目されます。

2024-2025年末年始IPO見直し買い、狙い目銘柄

2024年中に各銘柄のセカンダリー記事に関しては工数であったり、毎銘柄記事を書いても有料で提供するほどのクオリティのものを書くのは難しいということで休止しました。しかし、セカンダリー戦略がないわけではないので、今後もちょっとした思いつきであったりイベントのタイミングで検証記事などは書けたらと思います。

2024-2025年末年始IPO見直し買い、狙い目銘柄

2024-2025年の見直し銘柄記事を表に出すにあたって、「2023-2024年年末年始見直し買い狙い目銘柄(昨年度のもの)」を有料から無料に切り替えました。去年の記事でどうなったのかが分かるので、記事内容が分からないと有料記事は買いたくないという方は参考にしてください。

セカンダリー戦略記事ですので、「時間軸」の切り取り方が非常に難しいです。記事内ではとりあえずの次のIPO上場までの見直し買い確度が高そうな銘柄選定と2024年のIPOで今買うなら中長期でオススメ銘柄を選定しています。今買うなら視点ですので、どちらかというと上場後下げている銘柄を選んでいることが多いですが、すでに上がってしまっている銘柄でも目をつけていれば買えている銘柄も多いと思います。

プライマリーと合わせてセカンダリーも少し楽しむとIPOもまた違った戦略が使えて幅が広がります。積極的に参加しなくても予想して戦略立てて検証するだけでも、実力は上がっていきますので、是非楽しむ形で当方の記事も読んでいただければ幸いです。

皆さんの意見と違ったり、IPOの評価が甘い、単純に記事内容が間違えているなど、いろいろ厳しい意見も頂戴することもありますが、間違いなどは真摯に反省して当方もよりよい内容が提供できるように努力したいと思います。それでも、結構、当方のサイトを見ていただいている方は、悪くない投資戦績を上げている方が多いのでは?と思っています。それぐらい、これからも初心者に寄り添って投資の一助になればと思っています。