楽天証券で2023年10月から始まった取引手数料無料の「ゼロコース」。話題性も高く、今後取引手数料に関して気にしなくて済むのでこれを目当てに口座利用を進めている方も多そうです。しかし10月中に様子を見ていて、やはり利用必須になっている「SOR/Rクロス」を使わないと行けないのは罠というか問題も感じられるので、その点を紹介します。私は利用必須でなくて、チェック外せるとサービス開始前は思っていました。

楽天証券の「ゼロコース」を選択すると、国内株式(現物・信用)の取引手数料が0円になります。しかし、このコースでは「楽天証券のSOR/Rクロス利用同意が必須」となり注文時にチェックが外せないので、直接東京証券取引所に注文を出せず、必ず別経由の注文となります。

ここで楽天証券のSOR注文の利用イメージ紹介ページを抜粋すると

ある注文を出したら、自動で有利な条件の市場で注文を執行と書かれており、加えて「東証の最良気配よりも有利な価格で取引できる可能性がある」とメリットばかりでデメリットが無い書かれ方をしています。図解では注文方式に対して間違いない書き方をしていますが、SOR注文にすると私達客側からの注文が一旦、楽天証券に送られてSORというシステムを通してから各市場に注文されます。つまり一旦、注文データが楽天証券に渡ってから一操作あって市場に注文が入ります。なお、Rクロス注文も似たようなしくみですが、Rクロスという市場に優先してマッチングを取るというもう一つ邪魔なシステムが入ります。

この注文方式では、「東証の最良気配価格と同値または、有利な価格で約定」と書いている事実には間違いないのですが、この方式で出した注文のデータは一旦、楽天証券を経由してそのデータがどうもHFT取引(High Frequency Trade)を行うところに売っていると思われる事象が頻繁に散見されていて、SNSでもSOR注文出したら、それよりも手前にHFT取引と見れる注文が入ることで約定が邪魔されるということが起きると言われています。

私も他のネット証券ですが、たまたまSOR注文のチェックを外し忘れて注文(指値)したら、その手前に大きな板が出てきて約定できないというものを確認したので、SNSで言われていることは本当なんだと理解しました。

正直、ゼロコースを利用する多くの方がシビアな取引をしてないので個々に対する影響は少ないのかもしれませんが、多くの方の取引が楽天証券を通してSOR注文がされると、それはそれで結構な注文データになります。それをゼロコースにすることで外せない必須の状態にしているというのはちょっと異常性も感じていて、取引手数料無料にするのと引き換えに「SOR/Rクロス利用必須」は早晩、その実態を暴かれて時間が経てば突っ込まれ始めるのではないでしょうか?

同時期にSBI証券も取引手数料無料化に舵を切りましたが、SBI証券ではそういった限定・制限はありません。多くのネット証券でSOR注文が始まった時も、初期設定でチェックが入っていたりしていて不評なSOR注文ではあるものの、チェックさえ外せば使わなくて済む状態です。もちろんSOR注文は有利な条件で約定する可能性もありますが、現状の動きを見ているとSOR注文は確実にHFT取引にデータが行ってしまっていると思われます。

楽天証券の場合は「ゼロコース」にしなければ「SOR/Rクロス利用必須」ではないので、こういった事情が気になる方は少額の手数料を払う可能性があっても「超割コース」「いちにち定額コース」が残っていますので、そちらにコースを戻してしまえば問題は起きません。とはいえ取引手数料無料は欲しいという場合は今までと同じように「超割コースで大口優遇適用」がオススメです。

今までは信用取引のみ無料化でしたが、超割コースで大口優遇適用にしておいても「国内株式取引手数料が完全無料」になっています。

いやいや楽天証券はそんなに使わないし大口優遇適用面倒という方は、メイン証券をSBI証券に移行して普通に取引手数料を節約すればいいと思いますが、今後、楽天証券SBI証券に対抗するために楽天証券を使いたくなる理由も出てくるでしょうから、出来る方は「超割コースで大口優遇適用」を継続しておき、使えるタイミングで無駄なことが起きないようにしておいたほうが良さそうですね。

楽天証券の上場も控えているようで、そうなると楽天証券への配分は当然多く、貰うには必須証券になるでしょうし、その株を売るときの取引手数料の事も考えておくと、やはり出来る対策はしておいたほうが良さそうです。