2023年の10月ころからスタートした新ルール。仮条件を発表した後に公開価格が上下20%まで超過して決まる可能性があるという内容について、当方のサイトでも表示などを改めました。
2024年の3月上場ラッシュでも既に3銘柄が仮条件上限の20%超えで決まっています。各ページの公開価格の数字が太文字の場合は超過して決定したということで表示することで分かりやすくしました。
なお、過去のIPO結果リストでも同様に変更を加えました。
【IPO初値結果一覧表】騰落率、損益、その後の値動きなどチェックに
公開価格が太字の銘柄は仮条件から逸脱した結果ということです。なお緑色は想定価格からプラス、赤色は想定価格からマイナスで公開価格時点で想定価格より高くなったか安くなったかも色分けで表示することで見やすくしたつもりです。
さらに仮条件の表記が青色になっている場合は、仮条件から上下20%逸脱した公開価格になるという意味です。すべての銘柄がこの方式ではなく、逸脱可能性がある場合は仮条件発表時に訂正目論見書などで書かれています。当方のサイトでも仮条件発表後にBBスタンスを更新していますので、そのタイミングでこの情報も表記するようにしたいと思います。
これで過去の結果を見てもどういう動きでIPOが行われ、その結果、初値がどうであって、その後の株価の動きが見れますので過去のIPOのデータ分析は少しはしやすくなるのではないでしょうか?
新ルール適用情報はどうチェックするのか?月曜日に公開価格が発表となるシンカを例にとって紹介します。
シンカの訂正目論見書のブックビルディングに関する欄をチェックすると赤字で囲んだ部分のように、上下20%の範囲で発行価格を決定すると書かれています。これが書かれていないと仮条件からはみ出した公開価格では決まりません。
当方の個別IPO銘柄紹介ページでも上下20%の条件も可能性がある場合は表記するようにしました。ブックビル時に実際に必要になる金額を掲載することで資金計算もしやすくなってくれればと思います。
さて、この発行価格が仮条件から上下20%超えて決定する可能性があるという新ルールは始まったばかりですが、多少の混乱と困惑が出ていますね。
2023年には4銘柄がこの新ルール適用で、いずれも上限から20%超えの公開価格で決定したものの、2銘柄が公募割れという憂き目にあっています。これを見る限りは、私達は簡単に成り行きで注文するのではなく、微妙銘柄は上限を20%超えるようであれば要らないという意思表示をして申し込むことも必要かもしれません。
このように対処すれば、自分では評価が低いのだけど、新ルール適用が見られて20%超えが嫌ならば仮条件の上限での価格指定で申し込みをすることで、この新ルールの高くかわされるというリスクは避けられます。ブックビルディング時に発行価格以上での価格で申し込みをすればちゃんと抽選に参加できますし、それ以上なら買わないというのなら抽選からは外れますので、今後は申込時に価格を意識することもオススメしたいですね。
今のところ上下20%超えなのに、上方向に20%超えばかり連発していて、新ルールを主幹事や発行会社に高値で売り出せるという売り手に良いように使われているとしか思えません。本来なら条件を提示している時点で、上限をもっと高くしておくというのが筋だと思います。この新ルールは条件出してから後出しジャンケンのように価格を変えられるという悪ルールだと個人的には思います。
このIPOに関するルール作りは日本証券業協会が主体となってワーキンググループを作って行っています。IPO配分に関する10%以上を公平配分なども同じですが、これらを決定している委員というのが結局は証券会社などなので、私達のような投資家側の声は反映されづらいという特徴があります(パブリックコメントは受け付けています)。IPOルールを良いようにしようと思っても、やはり運営側がうまく回せるような内容になってしまうのが特徴でしょうか?
日本証券業協会は投資環境を整えるために設立されている団体です。特に取引の公正、投資家の保護などが目的としてあげられています。IPOの公平なルール作成、配分データなどの資料をしっかりと公表など、IPOに参加するにあたって重要なデータであったり、そこからどうしたら良いか動きが出てくるのもここからですので注意深くルール変更であったりワーキンググループの動きも見ておきたいですね。
2023年はIPOのルール変更では複数のことがありました。
- 上場日の成り行き注文不可
- 上場日変更可能のスケジュール可変性
- そして仮条件発表後にそれを上下20%程度の超過発行価格決定
です。
新しいルールには内容を確認しておくことで、そこに歪み(ギャップ)が生まれることも事実です。そこはしっかり観察して私達の投資行動にも活かしたいですね。初日の成り行き買い禁止は、セカンダリー相場に現状はっきりと影響のある部分としては、初日だけの動きではなく、成り行き買いが出来るようになる2日目にいきなり買いが入るといった流れも見られています。「上場日」や「初値」だけの一視点を見すぎないように心がけるのが今後は必要なのではないかと感じますね。