2022年4月に上場予定だったものの延期となった銘柄の再登場です。2年半ぶりの再登場、再登場IPOは条件を見直してくるので、上場延期のときよりは悪くない評価になるのですが、こちらはどうでしょうか?とにかくイグジットしたいというのがあると思うので、印象は悪いという人が多いかもしれません。
エネルギーを独自AIで解析し「省エネルギー化」を総合的に実現する会社です。社会的には必要とされていて、全方向に良いビジネスなので普及次第では化ける事業だと思います。
想定価格は1,080円。主幹事はみずほ証券です。
吸収金額が想定価格ベースで30.5億円で、東証グロース上場の中型IPOです。
まずは前回上場予定時のデータと比較してみましょう。
・参考リンク
インフォメティス(5030)のIPO新規上場情報(2022年4月予定時)
「前回と今回の比較」
公募株式数 総計:3,735,400株(公募:1,040,000株 / 売出:2,695,400株)O.A.分 560,300株
総計:2,461,600株(公募:600,000株 / 売出:1,861,600株)O.A.分 369,200株
公募株約40万株減少、売出株約80万株減少、OA分も20万株減少
合計で約140万株ほど上場時の放出が減っていて需給は締まっています。
想定価格 1,150円→1,080円(70円引き下げ)
吸収金額 49.4億円→30.5億円 (約20億減少)
時価総額 56.1億円→52.5億円(約3.5億減少)
2年経って業績推移では好調推移で黒字化が見えてきていますし、確実に2年前よりは良くなっています。しかし筆頭株主ジャフコの出口案件というのは見え見えですし、上場時大量に売出しているものの、さらにロックアップを90日と180日の差で分けて、上場後はロックアップ外れたら先んじて売却するのでは?と感じます。
今回の条件は概ね公募組、上場時プライマリー組に有利にはしてきたものの、前回はかなり評価が厳しかったので、この条件で食いつけるかどうか?という判断になりますね。現状IPO地合いはグロースの成長期待に大きく上場日から買いが入っていません。ただ、10月の最終IPOであるSapeetがようやく上値追いのらしい動きもしているので、タイミングと動意付き次第になりそうですね。
目論見書で企業の横顔を見ておきましょう。
まずはミッションです。「エネルギー x AI x LIFE」暮らし方とAIによってエネルギー効率を上げる取り組みをしています。インフォメティスを中心に様々なサービスが展開されていますね。大きい部分は電力需要をAIで解析して「蓄電池利用最適化」「IoTサービス(利用表示、センサーサービス)」「需要予測による行動抑制」などです。
メインは電力の効率化なので電力会社との協力関係は欠かせません。電力5社との協業を行い、多くの世帯での電力把握が出来ることでビッグデータからより正しいAI解析が出来そうですね。徐々にシステムの導入が進んでおり、成長期待はありそうです。
具体的なコアとなる技術は「AI解析による電力最適化」になります。利用電力量を解析して、一番良い電力の供給方法、利用方法などをお知らせしたり機械的に操作します。「電力は蓄電池以外では貯めることが出来ない」ことから僅かな蓄電池の貯めれる量を活かすだけでなく、利用の仕方なども重要な省エネ化への取り組みになりますね。当方、大学の研究分野が近いことをしていたので、こういう技術がうまく行って欲しいというのはあります(何か縁があると贔屓目に見てしまいそうなので、そうならないように注意します)。
各家庭では蓄電池の普及も進んできていると思いますが、ただ単に同じように制御するよりは利用状況を見て家庭ごとに最適化するのが重要です。そこにソニーからカーブアウトした特許技術が活かされているみたいですね。HEMSとかZEROホームとか言われてましたが、最近はAI省エネ住宅というのが増えてそうですね。
他にもそれぞれのサービスで仕組みが書かれてますが、導入実績の紹介がわかりやすそうです。大きく3つで、「AI+IoT住宅サービス」。私が家を買った時にはなにやらHEMSで家の中の電力表示ができるシステムがありましたが、それはもうサービス終了しています。当時は見える化で省エネが意識できるというだけでしたが、「そんなもん見てるだけでそれほど意識できません」やはりAI解析を入れて自動で省エネしてくれて、その省エネ効果が見える化されるまでの技術が欲しいですね。
今はスマートホーム化として自分でスイッチボットやNatute Nanoなどを自分で買ってタイマー制御している人もいるのではないでしょうか?私も自動タイマーでエアコンとか電気を制御しているのは楽しくて好きです。センサーで自動的に制御するなども増えてきていますね。
「蓄電池制御サービス」も重要ですね。最近は夜間電力の割引もなくなっていますので、蓄電池を電力料金や需給に合わせて最適化することは非常に効果的だと思います。どこまで蓄電器つけることのメリットを生み出せてるかですね。どうも導入時のシミュレーション試算が胡散臭い事が多い分野です。
「デマンドレスポンズサービス」は各家庭にはあまり分からないところでしょうか?マンションなどで一括で購入であればうまく安く電力を変える仕組みなどになりそうです。これは既に上場している会社などで取り組んでいるところも多く見られますね。
業績です。2年前の上場予定時と違って利益で黒字化が見えかけているというのは大きいですね。これをもっていよいよイグジットしても良いだろ?と言ってきているような上場です。VC勢からは上場しろと急かされてそうで、今回は想定価格など下げてきているので、この条件なら需給面でもなんとかなると主幹事が考えてそうです。
とはいえ、この銘柄は今の価格よりも将来の成長期待で買うか買わないか?を評価すべきIPOだと思いますので、小さなディスカウントがどこまで公募組、BB組に影響するかですね。忙しい12月のIPOシーズンですが、比較的上旬に近いところなのは、買い圧力の面では良さそうです。ただ、初値売りで良いお小遣いになるか?と言われると微妙な判断をせざる負えない銘柄かと思います。
初値予想もお願い致します。