2022年5月23日の楽天グループの取締役会で楽天証券の株式上場準備を開始すると決議され、楽天証券も楽天銀行に続いて上場観測ということになっています。時期は未定ですが、グループ会社(子会社)の上場はいわゆる親子上場として市場では敬遠される状況の中、楽天の身売り(資金集め)が加速しそうです。
「楽天エコシステムの概念図」
楽天証券は楽天カードが100%株式を持つ楽天から見ると連結子会社です。ネット証券としてはSBI証券とライバル関係で、ここ数年で急成長して口座数を伸ばしています。しかしながら、楽天カードとの連携力を活かした積立投信クレカ決済事業でもポイント還元を改悪するなど、ちょっと揺らぎが生じているところに上場観測です。
予測されるのが、やはり楽天モバイル事業の大出血が相当響いていて、顧客サービスの肝であった還元策にメスが入り、それでも資金的に厳しい状況のため身売りのようなイメージですね。
楽天銀行の上場観測は昨年10月頃だったでしょうか?2021年に楽天→楽天グループとして名称変更してから、このようなドル箱子会社の身売り的な上場思惑が加速していると感じられます。
こちらはSBI系の住信SBIネット銀行とどちらが、インターネット専業銀行として上場するか注目されています。住信SBIネット銀行が先手を打って新規承認まで行きましたが、地合いが悪くやむなく延期となっています。
結局、こちらも儲かっていたけど本体(楽天モバイルが足を引っ張って全体)が厳しいので少しでも資金調達として機能させたいということでの上場に見えますので、上場時の評価がIPO公募参加するかどうかの判断になりそうですね。
下手に高値で吹っ掛けてくるようなら注目度は高くても静観、逆に苦しい台所事情から安値でも売ってくれるなら参加ということになりそうです。
いずれにしても、「楽天銀行」「楽天証券」は楽天グループの中ではうまく行っている方の事業だと思います。さらに「楽天カード」がクレジットカード界で躍進したドル箱事業の一つですし、キャッシュレス決済事業も覇権(ある程度のシェア)を取りたいと思っているでしょう。
モバイル事業はキャリア他社(ドコモ、au、ソフトバンク)が先行していて、楽天としてもどうしてもシェアを取りたいのは間違いなく、参入したからには軌道に乗せたいのでしょうが、楽天はEC源流で私としてはAmazonに対抗する日本企業として、Amazon以上のサービス提供をもう少し強固に考えて欲しいところです。そういえば昔kobo配って電子書籍事業どうにかしようとしていましたね。
ところが、最近の還元策サービスの改悪ラッシュによってECをメインとして楽天エコシステムに入っていた強ユーザーが、他社(他のエコシステム)に離れていっているのが実情。
【投資でポイント還元】積立投信でクレジットカード払い出来る証券会社xクレジットカードまとめ
楽天のサービスの決め手は他社よりお得度で見劣りしないという部分でした。楽天カードが躍進したのもクレジットカードの還元ポイントが概ね0.5%だったところに楽天カードは1%でお得感があり、さらに楽天ポイントだから使い勝手も良いという絶妙なお得バランスから支持されていたと思います。
そこを最近では他社と同レベルの0.5%だったり、0.2%に落としたりと見劣りが明らかに見て取れていて、多くのユーザーが楽天エコシステムから大移動しそうです。こうなると再び楽天エコシステムに戻って貰うには再度、他社よりも還元が高い戦略を取らないといけないのでしんどいでしょう。
実は私は100万ポイントどころか300万を超えているような強ユーザーになります。
そのような楽天エコシステムにベッタリで利用していた人が、ここ2~3年の改悪ラッシュでジリジリと楽天からはしばらく離れようと考えているに違いありません。そこに追い打ちをかけるように他社の魅力的なエコシステムが増えている世の中です。
子会社上場で資金集めをするのは良いですが、その資金を利用して再度、楽天がお得感を感じるエコシステムを構築できるのかが気になります。もちろんIPOファンとしては、新規上場会社が初値で華々しくデビューできるか?もしっかり見ていきたいと思います。