IPOに関して2023年10月から重要な変更点があるので紹介します。

変更点は主に「上場スケジュール」や「公開価格、公開株式数」などがより柔軟に変更可能になるという対策になっていますので、これまでよりも新規承認時の情報が緩やかな前提条件になるものが多いです。

具体的に変わる部分を紹介していきます。

1.仮条件の範囲外で公開価格が設定されたり、公開価格の設定と同時に売出株式数が変更されたりする可能性があります。

これまでも仮条件発表時に売出株式数が変更されたりすることがありましたが、今後は仮条件を定めた後もその範囲を外れて公開価格が決まる可能性が出てきます。IPOの申込時(ブックビル時)の価格範囲が変わるかもしれないので注意ですね。

具体的には下限の80%から上限の120%と上下それぞれ2割程度の幅まで公開価格を設定することが可能です。また売出株式数も80%~120%で変更可能。吸収規模も80~120%で変更可能。しかし、3つの条件をすべて満たす程度まで変更可能になります。

条件が緩和されてからどういう形で使われることになるかは、実例が出ないと分かりませんが仮条件発表後にブックビルが集まらずに上場中止になっていた銘柄が、8割程度まで下げてでも中止することなく上場させる。人気銘柄が売出数増やすなどありそうですね。

仮条件決めてから公開価格が逸脱するというのは、実際に起きるのかは注目ですね。

2.上場承認日から上場日までの期間を短縮する方式での上場が可能となります。

こちらは上場日が新規承認から短くなる可能性です。具体的には1ヶ月から21日程度に短縮する方式が出てくるようです。

イメージ図が紹介されています。新しい方式は「機関投資家に需給調査」することで仮条件が上場承認前にある程度決まっていることから、承認後の動きが早くできるというものになります。

機関投資家の需給ありきのIPOでこの方式を採用してくるところが出てくるかもしれません。一般投資家からすると出来レースっぽくて少し寒い印象ですね。とは言え、今までも需給関連は大口次第というのも多いのでこういう方式があってもいいでしょう。

3.最終的に公開価格等の条件が決定するまでは、特定の上場日ではなく、1週間程度の幅を持った上場日が目論見書等に記載されることがあります。

これは少し厄介に感じる変更内容ですね。

ざっくり読み解くと新規承認時は1週間程度の上場予定日が開示され、仮条件発表時に上場日が決定するか、再び上場日は範囲内で開示。公開価格決定時には上場日は確定、その他、申込みまでに変更しないといけない訂正目論見書が出てくるようです。

上場ラッシュ時に同時上場を避けることができるなどあるのかもしれませんが、1週間程度の幅だと避けようにもどこに入っても同時上場でしょ!なんてことがありそうですね。恐らくですが上場予定日を後ろ1週間程度の範囲で取っておいて、殆の銘柄は問題ないから一番最初の予定日に上場で決定、いろいろ条件設定に手こずって、後にずらして同時上場を避けてでも上場したい銘柄がひょっとしたら後回し上場になるような感じになるかもしれません。

上場中止になるぐらいなら、少し後ろ倒しして上場するパターンだと、そういった銘柄はかなり不安な銘柄になりそうですね。

4.訂正目論見書の交付により、上場日が延期される場合があります。

これは今までも延期銘柄がありましたが、数週間や数ヶ月の延期をしやすくする対策でしょうか?もう一度新規承認する時の手間を削減するので、延期銘柄が今後更に増える可能性はありますね。


いずれの対策も発行会社、上場会社に対してもう少し柔軟性を持たせて上げる対策に見えます。私達、公募参加者にとってはスケジュールや価格帯、需給の流動性がころころと変わる感触ですので、今まで以上に地合いであったり、スケジュールの確認などは頻繁にする必要が出てきそうです。

個人的にはIPOの情報をまとめてデータ化して提供している手前、フォーマットに関して少し変更していかないといけない部分の多い変更になりますので、当初はいろいろと情報提供に手間取ることも増えるかもしれません。

初値予想やBB評価に関しても、今までよりも前もった評価から変更したいと感じる部分は増えるでしょう。高評価の銘柄は恐らく公開価格が上乗せ、低評価の銘柄は価格を引き下げたことで買い得感が出るなどです。後は同時上場だから初値は厳しいと思っていたけど、上場日ずらしたことで買いやすくなったなど出てくるかもしれません。

変更当初はいろいろ対応していき、実際の結果を見ながら今回の変更点の影響も観察していきたいと思います。

これまでのやり方が楽で良かったと言うことも出来ますが、変化に対応していかないと生きていけませんので、なるべく早くこの変更点についていきたいと思います。とはいえ、変更点が発表されても従来どおりの方式で進むIPOも多いと思いますので、新しい方式などが見られた時点で随時対応します。