12月22日に新規承認となった4社のうちの1つがキオクシアHDになります。上場日は12月18日予定で新規承認から約3週間ちょっとで上場まで来るスケジュールです。上場ラッシュのど真ん中ですが単独上場というまた凄いところに差し込んできました。
旧東芝メモリ。2020年に一度上場予定で延期になった後、4年後になりましたがやっと上場できるでしょうか?当時は時価総額2兆円規模での予定。4年経っても1.5兆ぐらいにしたそうでしたが、蓋を開けてみるとその半額規模です・・・。
想定価格は1,390円。主幹事は野村證券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、他、共同主幹事です。
吸収金額が想定価格ベースで1,150億円で、東証プライム上場の大型IPOです。
ひとまずは2020年上場予定時との比較をしたいところですね。
キオクシアホールディングス(6600)のIPO新規上場情報(2020年予定時)
証券コードも6600→285Aに変わっています。
2020年予定時 | 今回 | |
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公募数 | 21,562,500株 | 21,562,500株 |
売出数 | 66,068,900株 | 50,380,100株 |
想定価格 | 3,960円 | 1,390円 |
吸収金額 | 3782億円 | 1150億円 |
時価総額 | 21346億円 | 7492億円 |
想定価格は4年経って約3分の1程度に大幅ディスカウント。公募株数は同数です。売出株数は減少していますが、海外への売出数が大幅に削られています。完全に海外からは嫌われて引き合いがない状態(買ってくれない状態)になってしまいました。
これだけ価値を落として、もう土俵際いっぱいで上場。価値を落としたから、上場後伸びることを願って買えるかどうかになっています。
こうなると評価は真っ二つでしょう。「4年間でかなり駄目になった企業で買うべきでない」or「かなり安く買えるお買い得状況」。個人的にはここまで難癖付いているIPOが12月という過密スケジュールに持ってくるのが、KY過ぎて対応がやりづらいというのが本音でしょうか?
ひとまず目論見書の見出しを軽く追ってみましょう。
沿革です。1987年のNAND型フラッシュメモリ発明から書かれています。メモリビジネスは、それなりに花形産業だったと思うのですが、今となってはグローバル競争の中で安値と性能の叩きあいレッドオーシャン市場ですね。上場延期で4年経って3分の1の評価額が物語っています。4年前にあの価格で上場してたら、みんな被害者ということになりますからね。
主要製品の紹介です。スマホなどに入っているメモリ、SSD、新作フラッシュメモリなどですね。私達がよく目にするのはSDカード系でしょうか?あの分野を見ていてもキオクシア製品は日本製なのに安く売られているのが残念です。PCのハードディスクもキオクシア(ウエスタンデジタル)で問題ないと思うのですが、結構叩き売り価格だと思います。
目論見書では市場規模の伸びが紹介されています。2020年から2024年でこれだけ評価が下がっているのに、需要見通しは上記のように書いているのが何とも言えないところです。
生産規模にも書かれています。日本にも複数の工場を持っています。世界的にはWesternDigitalと合わせて約3割のシェアを持っています。シェアは高めですが、期待度としてはイマイチな気もしています。
しかし、日本人に取ってみると旧東芝メモリの製品が入っていると、とりあえずの品質は保たれていそうな安心感はあるかも知れません。世界へもっとアピールできる何かが欲しいですね。
業績です。売上も利益も下がり続けているという苦しい状況です。右側が四半期ベースのグラフにしてイメージを良くしていますが、わざわざ四半期ベースのグラフを横に付けている時点で良いところを見せようと必死になっていると速攻で見抜かれるでしょう。
半導体は市況に左右されやすく今はAIが活況になっており、GPUの会社がめちゃ伸び状況です。もちろんフラッシュメモリもAIで必要な部品の一つですが、結果が現状で伸びてないのが悲しいところでしょうか?
キオクシア(旧東芝メモリ)も10月上場予定!?10月に大型が2つも来るか?
なお、キオクシアは2024年10月に上場予定で、その時は1.5兆規模で売りたいとしていましたが大型IPOも続く中、時期をずらしました。その1.5兆規模というのは飛ばし記事のようなものかも知れませんが、そこから半額近く下げている印象を持たせているので、確かに安くは見えます。
しかし、1.5兆円を見せているから安く見えるだけで、現状の想定価格が1,390円なのですからこの数字で買い手があるのかどうかの判断が必要でしょう。個人的にはIPO初値視点でいうと12月(年内)にとにかく上場してしまいたいというのが表に出るか、裏に出るか?というところでしょうか?急いでいる感がきな臭いですね。
IPOファン心理としてはうまく行って欲しい(公募組が初値で報われる展開になって欲しい)という願望がありますが、大手の需給観測記事や評価、さらに今後のIPO地合いや株式市況も踏まえて最終決定を下す事になりそうです。年明け予定にすれば、また景色は違っていたでしょうね。東京メトロとは雰囲気が全く違うので、無理したくない人はパスもありですね。年末に打撃を食らうと気分が落ち込んで年を越すことになりそうです。
初値予想もお願い致します。