ようやく3月IPOの新規承認が出てきました。3月18日上場予定で、ここから月末にかけてどの程度のIPOが登場するでしょうか?月末に重なりそうなのはちょっと不安ですね・・・。
芸能事務所のような社名ですが、人材派遣サービスを内製化するような仕組みを作っています。長らく就職転職市場は外部リソースが頑張ってきましたが、そろそろ逆流の方向でしょうか?
想定価格は750円。主幹事はみずほ証券です。
吸収金額が想定価格ベースで14.7億円で、東証グロース上場の中型IPOです。
目論見書を見ていきましょう。
事業内容は結構シンプルで、企業の人材獲得はここ数十年は外部の人材会社に頼るという状況でしたが、自社でも活用できるようなシステムを開発。自社完結することで、より有利な人材獲得を目指します。
すぐに会社の能力を示す経営指標が載っていました。このページが大きく載っている時は、結構会社側から数字でアピールできますよ!という意味と感じます。SaaS系で低いチャーンレートなどを売りにするのは最近のトレンドにも見えます。
外部の人材紹介会社と通さないために使える主な3つのシステムがあります。
MyReferは外部人材紹介エージェントを内製化。従業員がエージェントとして活躍できる仕組みです。昔は大学などにリクルート活動として先輩社員が引き抜きなど見られる光景があった(今もあるでしょうが)と思いますが、今は人材会社が仕組み化してそうですね。従業員向けにエージェント活動をしやすくなる情報システムが提供されてそうです。
MyTalentは外部の紹介データベースを使って探すのではなく、それ以上の人材流動データを含めることで潜在人材を見つけるサービスです。働きたい方のアクセスがなくても、高いマッチングが出来そうな人にスカウト事業ができそうです。
MyBrandは採用メディア作成システムですね。最近の大手会社はホームページに求人メディアを作るシステムがあるところも多いともいますが、より簡単に使いやすくしているのでしょうか?こちらはそれほど目新しさは感じないかもしれません。
いずれにしても3つのサービスで、外部の人材会社に頼っていた部分を内製化することが出来、それにより競争力やコスト削減が見込めるのが魅力です。最近は人材不足で優秀な人材獲得が企業の悩みの一つと言えます。それを外部の高い就職エージェントに支払うよりも内製化して、より効率よく人材獲得ができるなら利用するでしょう。
ターゲットとしているのは大手企業になります。中小企業だと内製化するには少ししんどいけど大手企業なら人材獲得は内製化したほうが扱いやすいというところを付いてきていますね。新卒市場も転職市場もエージェントがやたらと頑張っている時代が、そろそろ変わっていくのかもしれませんね。
成長のため戦略についてです。国内の大手企業(従業員1000名以上)は約4000社、TalentXのサービスを現在使っているのが約200社。まだ新規開拓余地がある状況です。同じようなシステムを作っているところもありそうですが、高い伸びと上場による信頼が築けていることで、この市場(大手企業への人材システム内製化市場)は寡占できそうですね。
人材不足がすべての業種で騒がれている時代ですので、まだまだ人材市場のビジネスは活気があります。就労市場の内製化SaaSは、現状まだ伸びそうと考えます。
最後に業績です。高い売上の成長が見られ、利益も黒字化して大きな伸びを見せています。いかにもIPOらしい伸びをしているので評価したいですね。成長率を考えると価格設定も妥当というか割安と言えるでしょう。この手のIPOは数年前は予想PER3桁台が多かったのですが、最近は控えめになっているのはありがたいです。
単価も1,000円以下で買いやすいです。既存株主にVC勢が多く、売出し比率が高いなど上場時のイグジット姿勢も見られますが、その分、上場後は放出されてロックアップ解除による追加売り数も少なくなりそうです。まずは1.5倍付近を目指すなど、やや好調な初値結果が見られそうというのが第一印象です。
初値予想もお願い致します。