楽天証券のIPO申込に異変が起きています。

今までも楽天証券でのIPO申込は申込上限株数まで申し込みはできたのですが、殆の銘柄で100株が上限とされていたので基本最低単元での申込の証券会社という認識でした。

ところが楽天銀行のIPOでは申込上限数が「上限が100万株」と一気に1万倍となり話題になりました。あのIPOは楽天証券にとってはイレギュラーでしたので、扱いとしては正しかったでしょう。結果的に初値が上がったことで、せめて申し込んだ人はかなり利益になったと思います。

その後は再び上限100株が続いて落ち着いていました。

ところが先日8月30日に上場したインバウンドプラットフォームで上限600株という中途半端な数字で変更を加えてきました。その後のIPOの申込ではいずれも上限数が複数株になっており600株を基本に、1000株、2000株、400株など規則性無くいろいろ上限数を変更している状態です。

状況を見る限りでは楽天証券の担当者も手探りな部分でいろいろ試していそうですが、上限を上げた意図が何なのか?ですね。証券会社側から見ると上限まで申し込むには資金を楽天証券に入れる必要があるので、証券会社への預り金残高を増やしたいという意図があると思います。ただし、あまりに上限を上げて金持ち優遇アピールしすぎると小口口座が逃げてしまいます。このあたりの塩梅を探しているのでは?と思います。

楽天証券が目の敵にしているライバルと言えばSBI証券ですよね。10月からはお互い共に手数料競争に終止符を打つ取引手数料完全無料化に着手します。この分野での戦いはもう最後まで来たということで、恐らく来年から始まる新NISAに向けてとにかく証券口座の口座数や残高を増やしたい、新NISAの利用口座として獲得したいと戦略を練っているでしょう。

ライバルのSBI証券はもとからIPOの抽選は資金量多く申し込んだほうが有利な証券会社です。今回楽天証券が上限申し込みを上げるというのは、このSBI証券側に寄せてサービス強化という意図なんだと思いますが、根本的に楽天証券SBI証券ではIPOの引受枚数や引受量に差があり、主幹事にもなるSBI証券楽天証券が複数単元勝負で挑むのは無謀です。

だからこそ、中途半端な上限数で様子見してやってみるけど一番いいやり方は何なのか楽天証券も考えているところでしょう。しばらくは中途半端な上限数設定が続くと思われます。

 楽天証券のIPOを大分析!2017年からIPO注力で注目の楽天証券の実際の状況は?

私は楽天証券のIPO攻略として2017年からのデータをずっと取り続けており、今回の上限調整は新フェーズに入ったと思っています。とりあえずは上限申込の数字をリストで取っていますので期待値などの変化がどうなるかを確認していきます。

なおインバウンドプラットフォームは上場まで終わりましたが、1単位の期待値は39円でした。600株申し込めるということは6倍まで期待値を計算はできるものの、そのための資金量とか考えたらいまいちそこだけ見ても行けないでしょう。インバウンドプラットフォームはSBI証券主幹事だったので、SBI証券に資金を振ったほうが期待値は高かったと思います。

基本的に楽天証券の割当枚数は少ないので、そこに複数申し込みで勝負をかけるぐらいなら他の証券会社へ資金回したほうが良いと考えていますが、今後どういう動きになるのかは興味がありますね。

楽天証券のIPO複数単元の場合のルール

楽天証券のIPOルールを参考に載せておきます。

 

1単位ごとに抽選番号が割り振られて抽選するので、単純に複数申し込みすると当選確率は倍にはなります。ただ、インバウンドプラットフォームの状況をみていてもこれまでより少ししか申込件数が増えていないのに、倍率ばかり上がっていて多くの方が冷めた目で見ているのは間違いないですね。

しかも公募割れ銘柄を複数被弾する確率も上がっていることになりますので、これまで以上に慎重な対応が望まれますね。

なお楽天証券は2段階申込ですが、最初の申込で株数を決めたら2回目の申込で株数変更は出来ません。やはり上限数を上げすぎるのは悪手になりそうです。「楽天証券に割当数が多くて、初値も期待できるものだけ上限申し込むことで活用する」というのが現状言える攻略の糸口と言えるでしょう。

楽天証券自体のIPOも噂されていますので、その時に大活躍の可能性はありますが、それは楽天銀行と同じくイレギュラー対応出来るので、普段から上限アップは微妙ですね。