企業の業績が悪くなると、真っ先に槍玉に上がるのが企業の株主優待コストになります。コロナ禍によって業績悪化の決算が出る中、株主優待コストが掛かっている企業では株主優待の見直しや廃止が進んでいます。

また、最近では株主優待クロス取引などで優待だけを取っていく手法が広く伝わっていることで、株主優待だけ取られるという企業としては嬉しくない状況が過熱していることで、やめ時を考えている企業も多く、コロナ禍の業績悪化が逆に株主優待をやめるいい機会と判断しているかもしれません。

先週は2件の衝撃的な株主優待にまつわる変更ニュースが有りました。

トラスコ中山(9830)の株主優待関連情報

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優待カタログでは人気ランキングまで出していて、株主優待に注力していた企業です。株主増加に貢献したと書いていますが、それに伴うコストも増加して廃止して成長投資に回すとのことです。

12月末の人気優待ですが、今の時期に発表してくれたのは株主優待ファン思いとは言えるでしょう。それにしても残念ですね。

平和(6412)の株主優待関連情報

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平和もゴルファーにとってはアコーディア・ゴルフが上場廃止になって、優待使ってゴルフに行ける最後の砦的な株主優待です。ただ、毎年優待廃止にビクビク怯えていたところもあって、過去にも内容改悪(公式サイトからしか使えないなど)がありました。

今回の変更はかなりの価値削減内容です。

「3,500円割引→1,000円割引(約3分の1)」「枚数も半減」「複数枚利用可能(消化は早い)」という状況。額面価値的には6~7分の1ぐらいまで落ちたことになります。

私は過去に雑誌社の株主優待オススメ品として、ゴルフ優待を書いた覚えがあるのですが、もうすっかり様変わりしてしまいました・・・。

ゴルフ優待のように自社のサービス利用の優待でも改悪が進んでいるというのは、衝撃的かもしれません。


その他、まだまだ株主優待の改悪や廃止リスクのある銘柄がたくさんあると思います。注意したい優待銘柄は

  • クオ・カード、カタログギフトといった企業サービスとは関係ない優待を提供しているところ
  • 株主優待コストが逼迫して、業績に悪影響、本来ならさっさと廃止にしたいが優待好き株主のためにやめるにヤメれない状況の会社(特に外食産業に多い)
  • コロナ禍で業績が大幅に悪化して、株主優待中止や廃止の理由が付きやすい会社

上記あたりでしょうか?

株主優待が減っていく状況というのは、現時点では避けられない流れかもしれません。日本の株式市場のガラパゴス的な制度とも言えますので、日本の習慣的に完全に縮小とは思えないですが、景気の悪化とともに状況が厳しくなるというのは承知しておく必要がありそうです。

株主優待戦績

私もサイト上で約10年の戦績を載せるぐらい長く楽しませてもらったと思っていますが、最近の一般信用のクロス空売り争奪戦は異常のレベルに達していると思っています。優待銘柄を1~2ヶ月前からクロスして保有するというのは常識外の投資方法かもしれません。

穴を突いた(エッジ部分を狙った)投資手法というのは私は好きな方なのですが、多くの方が参加して逆にやりにくくなっているところが行動を逆流させる時なのかなとも感じています。

投資格言「人の行く裏に道あり花の山」は意識している言葉ですが、株主優待でもちょっとそういった雰囲気がありますね。