ようやく9月IPOの新規承認が出てきました。今週に出てくるのか不安な部分もありましたが、月曜日から新規承認銘柄が出たことで、今後少しは期待できそうです。しかし9月25日上場予定なので、9月はほぼ終盤にしかIPOが登場しないことになります。上旬や中旬にもあって分散したほうが良かったかも知れません。
「Zキャリア」という転職プラットフォームを運営する就労市場関係です。ターゲットがこれまでのハイキャリアとかスカウトエージェント型ではなくて、ノンデスクワーカー向けというのが特色です。ROXXは「ろっくす」と読むようです。
想定価格は2,110円。主幹事はみずほ証券です。
吸収金額が想定価格ベースで70.9億円で、東証グロース上場の中~大型IPOです。
今回は目論見書の見出し部分の情報が、就労市場の赤裸々データがたくさん見られます。ちょっと読んでみると興味深いものが多いかも知れません。軽く追って行きましょう。
まず会社のミッションとして「時代の転換点を創る」としていて、ノンデスクワーカーの正社員化推進、低年収層の所得向上をあげています。このあたりを見ると社会課題解決志向も強そうです。政府的にもインフレと給与アップがどうたら言うてますので、政策テーマ性もあるのかも知れません。
サービスとしては「Zキャリア」という転職プラットフォームの運営、求人者・求人企業・さらに外部の人材紹介会社のマッチングを行っています。AI面接やデータベースの抽出などに多少技術が盛り込まれているでしょうか?報酬の動きとしては「求人側への手数料や成功報酬」です。サービスに「Z」が入っている点で求職者はZ世代と言われる人が対象と考えられますね。
なお、現時点でZ世代とは1996-2012年に生まれた若い世代を指します。10代前半から20代後半ぐらいです。
求職者のターゲットに関しても載っていました。「年収300万未満・25歳未満・高卒・PCなし」となっていて、とにかく非正規から正社員になりたいという人が多いようです。Zキャリア登録者のアンケートですので、生データって感じがします。
一方で求人企業のターゲットです。「常に求人を探していて」「未経験者OK」。業種的には機械工場or設計系、インフラ、警備など、やや体を使った昔のブルーワーカー系が多いでしょうか?今はそういう呼び方をしないのかも知れませんが、目論見書にブルーワーカーという書き方はありませんでした。対比としてホワイトカラーは書かれているのに変な感触はありますね。
個人的には人気がないから人材不足なのではないの?と感じるのですが、マッチングをどうやって取っていくのでしょうね?このあたり特化していることで、空いてたパイのマッチングを取るノウハウがあるのかも知れません。
データとしては業界構造の円グラフも興味深いですね。これ見ると年収600万以下が一番多く、半数以上が年収400万以下、学歴は非大卒のほうが多く、非正規が4割近く占めている社会構造になっています。それなのに転職系はハイキャリア転職が今まで多かったというのは事実でしょう。でも、そちらに特化したほうが金になるからという部分もあったと思います。
低収入の人を相手にするビジネスは「金にならない」イメージも強いので、そこをどう対応しているのかは気になります。パット見ですとAI活用、DX化でコスト削減。効率化を頑張る感じに見えます。
業績です。売上は急拡大しているものの赤字継続、ようやく赤字幅が小さくなってきたところでの上場です。最近のIPOでは赤字上場は好まれませんし、売出多く、VCジャブジャブ案件ですので出口案件と見られるのは間違いないでしょう。
上場前にどれだけ事業のアピールと未来に伸びる展望を示せるかになりますが、やはり現時点ではせめて黒字化見込みぐらいまではないと評価されづらいかも知れません。事業的に企業側は上場おめでとうの雰囲気になると思いますが、市場や投資家からの目線は気になる部分ですね。
大手レポートも見ながらのBBスタンス評価になるとは思いますが、吸収規模も大きいので初値期待はやや薄めと言った第一印象です。
初値予想もお願い致します。