2021年の12月4週目(20日~24日)は5日間で計24社が上場しました。1日平均で約5社が連日上場となった過密スケジュールになります。今までにない過密ぶりでしたが、こういうこともまたあると思いますので、総括して振り返っておきます。

202112week4ipo

初値ベースでは10社が公募割れ、1社が公募同値、13社が初値プラス(1枚1万プラス以内の微プラス2銘柄)でした。ほぼ五分五分の勝負だったと言えます。ちょうど12月に入ったIPOも微妙な銘柄が揃ったことも要因の一つですが、IPOという特殊なイベントで勝率5割で勝ち負け同数というのは、IPO期待値としては低かったと言えるでしょう。

戦前から思われていたことですが、異常なほどの過密ラッシュでは通常時のIPOよりかなり引き下げて考えるべきで、評価を1~2ランクぐらい下げるというのが妥当に見えますね。連日数百億レベルの吸収金額があり、1週間で約1300億ぐらいの吸収金額(想定価格ベース)となっています。この規模感をどう感じるかは人それぞれです。1000億を超える吸収金額のIPOが一つで現れることもありますので金額ベースで見るとそれほどでもないですね。

一方で数の多さの影響度として大きいのは「強弱が極端に出る2極化」です。あまりに人気がない銘柄は引受価格でも止まらない下げた初値がいくつか見られました。買いが入らないので、下げるところまで下げて、あまりに下げすぎたところで若干反発するなど下げた銘柄にも少し買い場はあったと思います。また強いものも極端に強さを見せている銘柄も多く、セカンダリー勢は意外にも勝てるポイントが複数見られたかもしれません。ただ、入り口と出口のタイミングは非常に波が荒いので、極端な勝負を挑むほど勝てていそうですね。

  • 12月20日(月) 3社上場 約76億(初値3勝)
  • 12月21日(火) 4社上場 約226億(初値2勝2敗)
  • 12月22日(水) 6社上場 約453億(初値2勝4敗)
  • 12月23日(木) 4社上場 約310億(初値2勝2敗)
  • 12月24日(金) 7社上場 約215億(初値4勝2敗1分け)

5日間の状況は以上のとおりです。

いろいろ言いたいことはあるのですが、初値と初値以降の動きとしてのパータンをいくつか書いておくと

  • 大型で事業などには注目銘柄は、初値公募割れもなんとか公開価格まで上がってきた案件あり
  • 想定価格に割高感があって、初値で奮わなかった微妙人気銘柄は復活の気配なく沈む
  • 割安で人気なし銘柄も基本は公募割れ(これらの銘柄は翌年の見直し買いがあるか注目)
  • 注目度以上に初値が良かったものは、セカンダリー状況も良い

初値こそ公募割れが多かったですが、すでに公開価格を一旦タッチしている銘柄も多いです。逃げ場は作られた印象で、見た目ほど恐れていた結果でもなかったなというのが率直な感想です。

ただ、IPOって公募1枚でも当選したら利益がいくらになるかウキウキしながら上場日を迎えるのが当たり前でしたので、こんなにモヤモヤビクビクしながら上場日を迎えるのが続くのはゴメンですね。2020年のコロナ禍での3月4月の地合いの悪化。2021年はモダリスのロックアップ事件によるセカンダリー不信の地合い悪化が響いていると感じます。

ipo2021nennbetu

1年間の総括は年末年始にしたいと思っていますが、2021年のIPOは数は増えるも、騰落率は下がっているという2006~2007あたりの一つ前のIPOが崩れてしまう前兆に動きが似ています。

歴史は繰り返しますので、多かれ少なかれ同じようなIPO不振の状況が続くかもしれませんね。