宇宙系IPOの登場です。小型SAR衛星の開発・運用、そしてソリューション事業ですね。SARとはSynthetic Aperture Radarの略で日本語だと合成開口レーダというようです。レーダなので衛生から電波を地表に向けて照射することで測定などを行います。宇宙の眼みたいな感じですね。
似たような事業をしている宇宙ベンチャーでQPS研究所が2023年の12月に上場しました。現状、株価の状況も良いので、こちらも面白いIPOとして評価されそうです。期待度は高いでしょう。
想定価格は460円。主幹事は野村證券です。
吸収金額が想定価格ベースで112億円で、東証グロース上場のやや規模の大きなIPOです。
目論見書を少し見ておきましょう。
まずは小型SAR衛星の説明が書かれています。具体的な画像データを載せてくれています。たくさんの小型SAR衛星がいずれ宇宙に存在する世界で、地球が外側から観察されて解析されている世の中は近づいています。いろいろな方面で活かされるのは確実ですが、何よりも情報をたくさん持つ強みというのが一番でしょう。
技術面では「小型化・低コスト化」が挙げられています。日本の得意分野の1つが「小型化しても高品質」だと思います。精密機械の質の高さというのは日本人らしい職人技が活きるところですので、この小型SAR衛星の分野では日本製が活躍して欲しいですね。
ビジネスモデルです。顧客は政府や大手民間企業になります。特に「防災」「安全保障」「インフラ」「国土開発」といった地理ベースで必要な情報を持てるのが強みです。地上からでは人が立ち入りにくい場所の解析にも役立ちそうです。衛星にドローンと空からのアクセスは随分と加速して未来感がでていますね。
細かいソリューション事例も載っていました。地震や台風被害などが多い日本では災害の被害分析での活用に期待が高そうです。防衛部分でもかなり活用されることになるでしょうが、そういったところは守秘になりそうですね。言わんでも分かるだろ、そっちのほうが重要だって感じでしょうか?
マイルストーンです。2028年には衛星運用数30期以上体制の実現を目指して進んでいます。そうなると観測頻度が分単位になってデータの強みが一層増す状況になりそうです。打ち上げもすでに予定合意済みで先は長そうに見えて、意外と近い未来にかなりしっかりとした運用体制になりそうです。
業績です。売上急成長も利益に関しては赤字継続で、今後も黒字化よりは売上の伸びを重視している模様です。上場はしますが、まだまだ投資段階で回収フェーズではない状況です。ということで今回は全数公募の売出しなし。ベンチャーキャピタルや大手会社の出資でジャブジャブの状況ですが、ロックアップも半年かかっており、価格解除はありません。
上場時は利益にはあまり目が向かず、期待度の方に行って人気を集める可能性が高いですね。IPOでどうせ買うならこういった宇宙ベンチャーに投資したいという感覚は多くの人が持っていると思います。バイオ銘柄と同じくギャンブル感のある宇宙ビジネスですが、やはり未来への期待に投資するのがIPOの醍醐味の1つでしょうか?
主幹事が野村證券というのも頼もしいところで、こういうベンチャー銘柄が野村證券主幹事だと信頼性が増す気がします。上場予定日は12月19日でやや過密になってきている状況です。宇宙系は注目度が高い方ですので、強弱に振り分けられても「強」になりやすい(注目を集めやすい)IPOというのも好感される部分でしょう。
初値予想もお願い致します。